2015-01-01から1年間の記事一覧

「ローズマリーの赤ちゃん」

「ローズマリーの赤ちゃん」の話は、さきにあげたスイスの事件のように、山にへだてられたところでおこったのではない。その背景はニューヨークだった。著者のアイラ・レヴィンは1929年ニューヨークに生まれ、ニューヨーク大学を卒業した23歳の年に「死の接…

経済開発を最優先課題に工業化政策を推進

タイが工業化に向けて開発体制を整備していこうという意識を、歴史上はじめてみせたのは、一九五八年以降のことであった。この年にサリットが軍事クーデターをおこし、ピブーン政権を倒して全権を掌握した。サリットはもちろん軍人であり、彼ののちに政権を…

マネジメントから財政計画化へ

一九八〇年代に入って日本の財政は。一段ときびしい歳入欠陥状況におかれた。第二次臨時行政調査会の設置以降、内閣は次第に概算要求基準(シーリング)をきびしくし、マイナスーシーリングの時代を迎えた。経常部門ならびに投資部門別に、前年度予算に比較…

情報ネットワークの威力

このようなユーロダラー取引の特徴は、ロンドン支店がポンド建てCDを発行してポンド資金を調達した場合と比べればわかりやすい。この場合、邦銀ロンドン支店のバランスシートは、貸方にはCD発行額が、借方にはその運用先(貸付ナ証券や現金)が記されて…

「国連」の名のもとに

国連は、加盟国の剥き出しの利害が衝突する現場であり、国際社会の調整の場なのだと言える。自らどう国連を利用し、主張を通すかについて心を砕くことはあっても、その決定を、絶対視することはないだろう。国益と国連の決定は必ずしも一致しないし、国連の…

90年代の芸術村

独立片の独立とは、要は官方からの独立であり、長年チベットを撮り続けてきた映画監督の段錦川が「かつてわれわれが直面したものは真実でないもの、虚偽のもの、ニセモノであり、個人で映画を撮るわれわれがしようとするのは真実を追求し、事実の真相を理解…

戦争の大義について

もしも、誰でも納得できる客観的な基準にもとづいた大義が存在するならば、人類はとうの昔に戦争という悪から解放されていたはずである。そうでないのは、もともとからして大義なるものが存在しないからなのだ。いや、ある。だがそれが、当事者の双方ともが…

刑事責任は重い

利益が出るかどうか確実ではないのに「地球環境によくて必ずもうかる」などと言って会員を募っていたとして、経済産業省は10日、植林事業などのマルチ商法を行う「スタイレックエンタープライズ」(東京都江東区)に対し、特定商取引法違反(不実の告知な…

株式市場への公的資金投入

公的資金は株価をサポートする上で、実に効果的に使われてきた。実際、九二年末から九三年春にかけて、株価が下落すると新指定単の資金を使って、買い出動に出たのである。その後、九三年春から年半ばにかけては公的資金の投入も手伝って、積極的に株価水準…

名目的にイスラム教を受け入れる

アルコールについては、古代からビールやワインが盛んにつくられてきたエジプトでは、一九九七年に民営化されるまでは、百年以上もの間、「ステラ」というビールが国営会社で製造されてきた。同じ会社のワインも人気がある。シリアでは「アラック」というア…

地価税の誕生

資産課税の第二のタイプは、資産保有に対する税金である。資産保有自体から様々なサービスつまり効用が生み出されるし、かつそれを反映した経済力、担税力を資産保有者はもつことになる。課税する根拠は十分に存在すると云えよう。しかしすべての種類の資産…

現代に生きる幻の大運河計画の遺産

川崎河港水門は大正一五年一一月に着工、二年半後の昭和三年三月に完成した。工事費五四万円、設計者は内務技師の金森誠之。それにしても、水門の背後にひかえたわずかな荷揚げ場と船溜りにしては、ちょっと大げさな構造物である。だが次のような建設の事情…