刑事責任は重い

利益が出るかどうか確実ではないのに「地球環境によくて必ずもうかる」などと言って会員を募っていたとして、経済産業省は10日、植林事業などのマルチ商法を行う「スタイレックエンタープライズ」(東京都江東区)に対し、特定商取引法違反(不実の告知など)で11日から3カ月間の業務停止を命じた。

同省によると、同社は電話などによって「グリーンシップサポーター」と呼ばれる会員を全国各地で募り、スーパーポローニアと称するキリの苗木3本をオーストラリアに植樹したり、この木を5年間育成管理したりする権利を約25万円で販売していた。これまでに約3万人の会員を集めており、08年10月期の決算では、1年間で約35億円を売り上げていたという。

同社は顧客の自宅や、公民館などに人を集め、「10人紹介すれば、ランクが上がって収入が増える」「契約すると、数百万円、億単位のお金が入ってくる」などと顧客を勧誘していた。

資産運用コンサルティング会社エフ・エー・シー(FAC)=破産手続き中=による出資金詐欺事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の罪に問われた前社長松隈茂則被告(56)の控訴審判決が2日、福岡高裁(陶山博生裁判長)であり、懲役4年とした一審福岡地裁判決を支持し、弁護側の控訴を棄却した。陶山裁判長は「被害は高額で回復の見込みはなく、被告が人脈を通じて作り上げた組織は被害発生に重要な役割を担い、刑事責任は重い」と指摘した。

判決によると、松隈被告は元社長黒木博文被告(44)=一審公判中=らと共謀し「投資を指南するCDソフトを100万円で買えば、毎月5万円の配当を受け取れる」などとうその説明をして、平成17年12月から18年6月までに18人から計約5300万円をだまし取った。