金利スワップの仕組み

金利スワップの変動金利にどのような金利を使うかについては、LIBORが代表的な金利ですが、このほかにTIBOR(東京市場における銀行間資金貸借取引の出し手金利)、短期プライムレート、長期プライムレート、CPレート(無担保、短期の商業約束手形金利)等があります。通貨スワップは、異なる通貨間の金利および元本を交換する取引です。金利スワップでは、交換の対象となるのは金利のみですが、通貨スワップでは、通貨の種類が違うことから、通常、金利だけではなく元本も交換することになります。通貨スワップ金利交換は、固定と固定、変動と変動、固定と変動といった組み合わせがあります。

たとえば、米ドル建債券を発行している本邦企業があり、この企業が先行きの米ドル高・円安を予想して、この債券を実質的に円建て債券に変更したのと同様の効果を得たいとする場合には、米ドル・円の通貨スワップを活用することができます。これにより、発行済みの米ドル建債券はそのままで、実質的に円建てで借り入れ、円建ての元利金を返済するのと同等の効果を得ることができます。エクイティスワップは、株価指数の変化率に基づいて計算されるキャッシュフローと変動金利とを交換するスワップ取引です。エクイティスワップキャッシュフローは、金利スワップと同様、一定の想定元本をベースとして計算することになり、元本自体の交換は行われません。

エクイティスワップの具体例としては、日経平均株価のパフォーマンスとTIBORとを交換するとか、S&P500のパフォーマンスとLIBORとを交換するといったことが考えられます。エクイティスワップは、たとえば変動利付債を保有している投資家がこれを手放すことなく、実質的に幅広い銘柄の株式に投資したのと同様の効果を得たい場合とか、株式ポートフォリオ保有している機関投資家が先行きの株価下落を予想して、株式ポートフォリオ自体には手を付けることなく、これを実質的に変動利付き債に置き換えたと同様の効果を得たい、といった場合に活用することができます。

金利スワップは、当事者間で決めた金額の元本から生じる金利を交換する取引です。したがって、金利スワップでは、金利の受払い額がいくらになるかを計算するための元本を確定する必要があります。金利スワップ金利計算のもととなる元本については、取引当事者間で同一金額を交換しても意味がないことから、実際に元本金額の交換は発生せず金利のみの交換を行います。このように金利スワップキャッシュフローは、想定元本に金利を乗じた金額となります。通常、スワップの想定元本はスワップ期間満了まで一定ですが、スワップの期間が経過するにつれて想定元本がだんだん減少していくとか、逆にだんだん増加していくスワップもあります。想定元本一定のスワップを「ブレッドスワップ」というのに対して、想定元本が減少していくスワップを「アモタイジングスワップ」、想定元本が増加していくスワップを「アクレッテイングスワップ」といいます。

このうち、アモタイジングスワップは、スワップのユーザーが、ヘッジ目的でスワップを使う場合において、ヘッジ対象の金額が期間経過に伴い、徐々に減少していくようなケースに使用されます。たとえば、金融機関の貸付債権をヘッジするケースにおいて、期間が経過するにつれて元本の返済が進み貸付残高が減少していく場合に、このアモタイジングスワップを活用することができます。金利スワップの典型は、固定金利と変動金利を交換する取引です。金利スワップ取引ではこのタイプのスワップが最も多く取引されており、金利スワップの原型ともいえることから「プレーンバニラスワップ」とか、「ジェネリックスワップ」と呼ばれています。そして、スワップ取引当事者のうち、固定金利受け・変動金利払いのサイドを「レシーバー」、固定金利払い・変動金利受けのサイドを「ペイヤー」といいます。このように、レシーバー、ペイヤーは固定金利の方を基準にして名称が付けられています。そして、固定金利を「スワップレート」と呼んでいます。